1級販売士 記述式問題講評(第42回)






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1級販売士 記述式問題講評(第42回)

第42回の日本商工会議所発表の講評は以下の通りです。以下、日本商工会議所の資料より引用します

第42回1級販売士検定における記述式の講評

1.小売業の類型

【第6問】
本問は、フランチャイズ・システムのロイヤルティの徴収方式に関する問題です。フランチャイズ・システムはコンビニエンスストアを中心に小売業のみなら ず、ファーストフード、学習塾、レストランなど、さまざまなサービス業にも広がりを示しつつあります。こうした私たちの生活を支えるビジネスの仕組みであ るフランチャイズ・システムにおいては、粗利益配分方式、売上高比例方式や営業規模比例方式などのさまざまなロイヤルティの徴収方式が存在しています。本 問は、この徴収方式の算定基準についての基本的な理解を確認するものです。算定基準について聞いているにもかかわらず、設定論拠や特質を記述している答案 が多く見られました。また、算定基準は誰の何を対象にしたうえで設定されているかを記述する必要もありますが、説明不足の答案が見られました。
 ハンドブックの内容をそのまま覚えて書くだけでなく、出題の意図や文脈を理解したうえで解答する練習をしてください。

【第7問】
本問は、百貨店における仕入方式についての問題です。仕入方式には、買取仕入のほかに委託仕入と消化仕入があり、これらの仕入方式が十分に理解できてい るかどうかを確認するものです。答案の中には、消化仕入を買取仕入と同様の内容として記述しているものが多く見られました。また、相違点について十分に理 解しているものが少ないように思われました。
各仕入方式について、所有権が「どの時点」で「誰」から「誰」にわたるのか、所有権がわたることは「危険を負担すること」と表裏の関係にあることを図示しながら学習すると整理しやすいでしょう。

2.マーチャンダイジング

【第6問】
CVSチェーンが成長してきた要因としては、様々な要素がありますが、本問では、その中でも物流面に焦点を当てて出題しました。
約3,000アイテムもの豊富な商品を、わずか面積100㎡(約30坪)の店内で扱うCVSの品ぞろえの特徴は多品種少量で、これを支えるのが短時間リードタイムや多頻度少量配送のシステムです。
狭い売場で多品種少量の品ぞろえをするには、必然的に単品ごとの在庫量(陳列量)を少量にしなければなりません。ただし、それとトレードオフの関係で欠品 が発生しやすくなります。特に弁当・おにぎり・サンドイッチ・惣菜などCVSの売れ筋商品は欠品になりやすいうえに、鮮度の良さも求められるのでリードタ イムの短縮が不可欠です。
また、リードタイム短縮と同時に、上記のような日配品を中心に、多頻度少量配送を行うことによって販売予測精度も高めやすくなり、欠品防止や鮮度維持をはかるだけでなく、安全在庫の最小化・廃棄ロスの削減、ひいては店頭在庫量の全体的な圧縮などにつながります。

【第7問】
①統一ブランドの使用、②投資負担の軽減という2つの側面について、フランチャイザーとフランチャイジーのそれぞれのメリットを問うものですが、基礎的な内容なので、第6問と比較すると出来が良かったです。
本問は第6問と関連した出題で、フランチャイズ・システムはCVSチェーンの成長要因の1つです。CVSチェーンの成長要因としては、①フランチャイズ・ システム、②物流システム改革、③POSやEOSなどの情報システム活用、④ドミナント出店戦略、⑤店舗やオペレーションの標準化、⑥商品開発などにおい て先進的な取り組みをしてきたことがあげられます。
この機会に、これらの要素の関連性やチェーンオペレーションにどのように貢献してきたかを学習しておくと、検定試験対策ということだけでなく、1級販売士としての知識の深耕やビジネスの現場においても役立つでしょう。
なお、フランチャイザーにとってのメリットとフランチャイジーにとってのメリットを混同している答案も散見されました。「フランチャイザーのメリットは・・・、フランチャイジーのメリットは・・・」といったように整理して解答するように心がけてください。

3.ストアオペレーション

【第6問】
本問の出題の意図は、店舗運営においてローコストオペレーションを展開するうえでは、EDLP政策と特売政策の違いを正しく理解し、EDLP政策の方を重 視すべきことにあります。つまり、無駄なコストをかけないで低価格を維持するEDLP政策の本質を、小売業と顧客とのメリットとしてどの程度、理解してい るかを問いました。
EDLPは、できるだけ多くの商品を対象として、仕入先や仕入原価、そして販売方法など、あらゆる運営方法を改革して1年中どの競争店舗よりも低価格で販 売し続け、安定的な低価格を実現することです。これに対して、特売は、特定の商品に限定し、チラシ広告や販売促進費をかけて、短い期間だけ安売りを行い、 来店客数を増やす政策です。
両者について、十分に理解していなかったと思われ、EDLPの単なる用語説明に終わっていたり、文字数を稼ぐために、答案用紙の文頭にわざわざ「特売と比較したメリット」と書いたりする答案が多く見受けられ、正答率はあまりよくありませんでした。

【第7問】
本問では、1級ハンドブックに記載されているような計算式を解答されていることが望ましいですが、採点にあたっては、個々の用語が書かれているかではなく、まず、計算式の基礎の部分を正しく理解しているかをどうか考慮しました。
答案では、各用語を正しく解答されていても、四則演算記号(+・-・×・÷)の書き間違いといったケアレスミスが散見されました。

4.マーケティング

【第6問】
マーケティング戦略を策定する際には、標的市場を決定し、 標的市場に適合したマーケティング・ミックスを考えていきます。標的市場を決めるためには、一般に、 市場細分化を行いますが、市場細分化にはさまざまな細分化基準があり、本問はその中のサイコグラフィック要因についてたずねています。
本問は、1級としては、基礎的な内容であるにもかかわらず、理解していない受験者が多かったことは残念でした。マーケティング分野において市場細分化とその基準の理解は大変重要ですので、体系的に理解するように心がけてしてください。

【第7問】
本問では、近年、関心を集めるようになったCRMにおける顧客維持の意義についてたずねています。多くの受験者は理解されているように見受けられましたが、小売業と製造業では視点が異なることがありますので注意が必要です。答案では、誤字が多くみられました。
またCRMは、流通業・製造業を問わず、マーケティング戦略を考えるうえで非常に重要な問題ですので、ワン・トゥ・ワン・マーケティング、データベース・マーケティング、リレーションシップ・マーケティングなどと共に良く理解しておいてください。

5.販売・経営管理

【第6問】
全体的に白紙答案は少なく、要点をとらえた答案が多かったと思われます。
事業部制組織の特徴は、各事業部は商品別、地域別、顧客別に比較的小規模で自律的組織単位を形成し利益単位制(プロフィットセンター化)をとっている点と、それぞれの組織が独立した事業体のような全機能を備えている点にあります。
この観点では、分業化による効率的な事業運営ができることが長所のポイントとなる一方、部門間の調整が困難かつ全社的な統一性がとりにくいといったところが短所のポイントになります。
事業部制組織は、マトリックス組織との相違からその特徴を考えてみるとより理解が深まります。

【第7問】
本問では、しっかりとポイントを把握し、良くできた答案が目立った反面、白紙やポイントがずれた答案も見受けられました。
ここでは、連結財務諸表の作成にあたり、親会社に対して他の会社が連結子会社に該当する場合の基準を2つ求めています。
一つは、発行株式の過半数を実質的に所有している会社を子会社とするものです。すなわち、株主総会の議決権の過半数を所有しているか否かで判断するものです。
しかし、連結財務諸表を中心としたディスクロージャー制度への転換に際し、その会社を支配しているか否かは単に過半数の議決権を所有していることによるの ではなく、両者の関係も考慮して判断する必要性が出てまいりました。そこで、親会社がその会社議決権の所有が50%以下であっても、高い比率(目安として 40%以上)所有しており、その会社の意思決定機関を支配する一定の事実が認められるもう一つの基準を設けました。
連結については、連結財務諸表の意義、ディスクロージャー制度への転換、連結の範囲などをしっかりと確認しておいてください。



1級販売士の記述式過去問講評(日本商工会議所発表)

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