傾斜配点の仕組みを知れば資格試験は簡単になります







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傾斜配点のカラクリこそが受験ノウハウなのである

得点調整の方法として良く使われる傾斜配点について、その仕組みを見ていきます。

そもそも傾斜配点とはどういうものでしょうか。そこで、傾斜配点を簡単に考えてみます。

例えば100点満点の試験で問題出題数が50問の場合、1問の配点は通常ならば2点です。しかし、これを1点の問題や3点の問題に得点を傾斜していく方法を傾斜配点と言います。

大学入試や高校入試でも行われることがあります。特定の科目の配点を高くする、例えば英語科の入試では英語の得点を他教科に比べ高くする、などです。

仮に100点満点の試験で合格の絶対基準(評価)が70点だとしましょう。そして、相対評価で10%が合格するとします。この場合、絶対基準(評価)と相対評価の2点を上手く融合させて採点をする必要があります。

そうしないと、通常このパターンの試験では相対評価を重視しますから、単純に得点者上位の10%で合否判断を行った場合、絶対基準を満たさない合格者あるいは絶対基準を満たした不合格者が輩出されることとなってしまいます。60点で合格になったり、75点で不合格になってしまう人が出てきます。

そこで、傾斜配点が行われます。まず、相対評価の試験は応用問題や難問によって基本的に難しくつくられている試験である、ということが前提になります。そうしないと、合格者が膨れ上がってしまいます。傾斜配点の仕組みは得点を再配点する仕組みであって、基本は得点を減らすことではありません。むしろ、難しくつくられた試験の合格者を底上げするための仕組みです。

試験が難しいという前提ですから、100点満点の試験に50問の問題を出題して、採点したところ、70点以上の人は上位5%しかいなかった、ということに通常はなってきます。この場合、何らかの方法で採点をし直すか配点割合を変えないと、合格者を10%にすることができません。

情報開示が進む中で、最近は本試験の点数を公開する資格試験が増えてきました。なので、このケースだと残り5%の受験者の点数を何らかの底上げをして70点以上にする必要があるわけです。さすがに、「あなたは65点ですが今回は試験が難しいため合格としました」とはなりません。

さて、この時に、どのように点数を再配点するのかが最も重要になってきます。考えられるのは、3つのケースです。

  • 受験者全員に満遍なく底上げする(受験者の総得点に一定の割合を加える)
  • 特定の問題の配点を高くする(難しい問題の得点を高くする)
  • 特定の問題の配点を高くする(やさしい問題の得点を高くする)

1は、50問をそれぞれ2点で配点をして、採点をする。そして、全受験者に一定の割合を乗じて得点を底上げするケース。最も単純な方法ですが、これをやると前提条件が崩れてしまいます。つまり、100点中70点以上で合格ですから、70%以上の得点で合格できる試験だという前提だったものが、全体を底上げすることによって100点満点ではなく100点以上が満点となり、結果として70点は得点していても70%には達していません。絶対基準との矛盾が生じます。

2は、難しい問題を解けた人に多く配分するケース。この場合、50問中、難しいと思われる問題の得点を2点ではなく、3点以上に、やさしい問題を1点以下にすることになります。難しい問題が解ける受験者は、しっかりと勉強をしてきたのだから得点を上げる、そういう考え方です。しかし、この場合、問題が2つ生じます。

1つは、通常の受験生は基本的な問題のほうが多く解けていますので、受験者の大半の得点が下がります。難問を解ける人はそれほど多くありませんから、受験者間での点数のばらつきが極めて大きいものとなってしまいます。その結果、難問に得点分配を大きくしても、70点を満たす上位得点者は増えない可能性があります。

2つは、1の結果、全体的な平均点が大きく下がることです。試験にはいろいろな試験がありますが、問題のレベルとして60点が平均になるような問題の質と量が好ましいとされています。しかし、難問に得点の配分を大きくすることで、その問題はできていない人の方が多いわけですから、平均点は下がります。この結果、試験としての妥当性を問われることにもなりかねません。

そこで、3の手法がとられます。これは、2と全く逆の配分で、難しい問題の得点を減らし、基本的な問題の得点を高めることになります。この場合、基本的な問題が出来ている受験者は多いですから、70点の基準を満たす合格者を増やすことができ、さらに平均点の底上げも可能になります。

難しい問題ができても基本問題を落とすとアウト

高確率合格法が、基本的な問題を重要視するのは上記でみてきたような配点のメカニズムによります。どんなに難しい問題が出来ても、みんなが知っていてそして解ける問題ができていないと得点は伸びません。一部の受験生の間で、難問を繰り返し押さえている人も多いですが、それはあくまで基本がしっかり出来ることが前提で効果を発揮します。

資格試験は、基本的な問題を落とすと、それだけでアウトです。

逆の発想をすれば、資格試験は基本的な問題を正確に解答することができれば合格できる、という性質であることが分かります。

基本的なことしか知らない初学者が信じられないほどの短期間で合格を勝ち取る一方で、かなり細かいことまで詳しく知っていて難しい問題も解ける受験生が何年も合格できないという事実は、この傾斜配点による仕組みの結果です。

傾斜配点が行われているのは、会計士試験の論述式試験などでも同様です。多くの記述系の資格試験で行われています。ならば、マークシート式は行われていないのか?となりますが、確かに傾斜配点は行われていない可能性があります。しかし、合格するための考え方は同様です。

具体的に、社会保険労務士の試験の合否判断をみてみます。社会保険労務士は、試験の全てがマークシート式(選択式と択一式)のみで記述形式の解答はありません。しかし、考え方は一緒です。

例えば、社会保険労務士試験の平成18年度の合格基準は、

・選択式試験は、総得点22点以上かつ各科目3点以上(ただし、労働基準法及び労働安全衛生法、労災保険法、雇用保険法、社会保険に関する一般常識、厚生年金保険法は2点以上)である者、かつ、
・択一式試験は、総得点41点以上かつ各科目4点以上である者(ただし、労働基準法及び労働安全衛生法、一般常識は3点以上)である者。

つまり、選択式であれば各科目3点以上なければならない、とした上で、特定の科目については2点でも良いとしています。これは、その特定の科目が難しかったために、ハードルを下げたわけです。この考え方は、傾斜配点の「基本的な問題に点がいっぱいくる」のと同じ結果となっています。

全ての資格試験がこのような傾斜配点を行っている訳ではありません。しかし、資格試験に合格するためのルールとして知っておくと、勉強もスムーズです。傾斜配点を行っていない試験であっても、基本的な問題をいかにして得点するか、で合否が決まるのは同じことです。




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