理解よりも覚えることを優先して勉強を進める
理解していないと「すぐ忘れる」「問題は解けない」などと良く言われます。確かにそのような一面も否定できません。
ただ重要なのは、資格試験に合格するためには「解答用紙に正答を埋める」ことが重要なのであって、理解しているかどうかは合格のための絶対条件ではありません。
司法試験などのかなり高度な論述式試験は別として、ほとんどの資格試験で理解度を問うような問題が出題されることはありません。資格試験の問題で問われていることは、
それについて知っているか知らないか、ただそれだけ
です。
知っているか知らないかの2つに1つですから、知っていれば答えられますし、知らなければ答えらない、ただそれだけです。理解している、いないは全く関係ありません。
本試験場で、何かを考えるということは基本的にはありません。考えているのではなく、自分が知っていることの知識から何かを思い出したり、引っ張ろうとしているだけです。そもそも何も知らない問題であれば、考えようもないはずです。
高確率合格法では、前提としての理解ではなく、結果としての理解を重視します。まずは、問題を読むことから始め、問題の論点や全体での位置付けを明確にする。そして、どのような問われ方がされているかを把握する。それを一定の頻度で繰り返すことで、「知らない状態」から「知っている状態」へ本試験までに持っていくことをします。
上記の作業は、特に理解をしているか、していないかという視点は不要です。講義を聴けば、講師の話している内容は通常の人であれば分かるはずです。この段階で理解は終了しています。それから問題を見ても解くことができません。これは理解が不足しているのではなく、問題に対する対応力が低い状態にあるからです。問題が理解できないことと、講義の内容が理解できないことはその性質を異にしています。
また、理解していないと「すぐ忘れる」という意見も多いですが、理解していても忘れるものは忘れます。理解しているから忘れないというわけではありません。
逆に、「理解していないと覚えられない」という意見も多いです。確かに、理解していないと覚えずらいことは事実です。英文を何の理解もせずに覚えろ!と言われても覚えようがありません。
高確率合格法では、そもそも勉強内容は忘れるものだ、という考え方をとっています。覚えよう、覚えようと呪文のように唱える人や、覚えなければいけないと強迫観念に駆られている人がいますが、覚えようと思うと勉強上大変ストレスが溜まります。
むしろ、そんなに簡単に覚えられるはずがない、と視点を変えてみる必要があります。最終的に本試験までに「知っている状態」にすれば良いのであって、学習初期の段階からすべてを覚えていくという考え方自体に無理があります。
覚える方法、記憶の方法は別の章でご紹介しますが、まずは「問題に慣れる」ことの方が重要です。そのためには、問題を覚えたりテキストの内容を暗記するのではなく、とにかく問題を「読む」ことの方が有用です。その前提として講義を聴いて、講義の内容を理解しておくことが必要なのです。
理解は後からついてくる
問題をいきなり理解することは大変難しいことです。その理由は、
☆問題は一つの論点だけで構成されているわけではない
問題というのは、いくつかの学習内容が複合的に出題されているケースが多いです。この場合、一つの論点(内容)だけ押さえていても、すべての内容を理解できることはありません。
☆問題の意図はそう簡単に把握できない
問題には出題者の想いや考えが込められています。しかし、一介の受験生がそうそうにその背景を理解できるものではありません。繰り返し読み込む作業が必要です。
☆問題には難問もたくさんある
基本的な問題もあれば、難解な問題もあります。過去問題では、資格スクールでも理解に苦しむような難問・奇問・珍問が出ていることもあります。それをいきなり理解することは困難です。
さらに、いろいろなことを勉強していくと頭がゴチャゴチャしてきます。それが、問題を素直に読むことを妨げたり、深読みさせたりして、なかなか理解できなくなることもあります。
一方で「後から理解がついてくる」というケースは大変多いです。資格試験は全体の科目や問題間の中で、いろいろなところで関連性があります。個別内容だけでは良く分からないところも、全体を横断的に勉強して初めて分かると言うことが非常に多いです。
問題というのは、突き詰めていくと「テキストの重要部分を集約したもの」と言うことができます。だとしたら、最終的に問題を知っている状態にすることで、テキストの重要部分は押さえているということになります。だとすると、問題を理解していれば、テキストの理解もできている。
そのためには、問題をまずは読む。この時に理解できるか、覚えられるかはあまり深く考えない。読む作業を繰り返すことで、いずれ覚えられます。そして、覚えることができたとすると、知っている状態になる。知っている状態になれば、理解もできている。
すべての因果は繋がっています。要するに順番の問題なのです資格試験に合格するための最も重要な要素である問題を知っている状態にすることを高確率合格法では、重要視しているのです。
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