1級販売士 記述式問題講評(第33回)






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1級販売士 記述式問題講評(第33回)

第33回の日本商工会議所発表の講評は以下の通りです。以下、日本商工会議所の資料より引用します

第33回1級販売士検定における記述式の講評

1.商品計画と商品予算

全体的に十分学習していると思われる満点答案がある一方で、そうではない答案も多く見られました。テキストの内容を十分に理解し学習したか否かがその差を分けたと考えられます。得点アップのためには、きちんとテキストに沿った学習計画をたてる必要があり、その際には、特に、「仕入計画と在庫管理」のセクションの内容と混同しないことが必要です。

問題別に見ると、第6問では、問題文のなかに「流行商品の仕入れに利用する在庫高算定方式について」と書いてあるにもかかわらず、 流行商品の特徴やそれとの関連について記載されている答案が多かったです。算出方法が問われていますので、そのような説明だけでは不十分にといえます。また、算定方式の名称の誤字脱字や算出式の誤り(加減乗除等)、名称と算出方法との不一致も散見され 、正確に理解していない答案も少なくありませんでした。

第7問に関しては、商品計画とは関係のない答案が多く、それらには「経営とマーケティング」や「販売計画と管理」に関する項目が多く含まれていました。「個別商品の商品計画」をたてる際の具体的な内容をよく理解しておく必要があります。

2.仕入計画と在庫管理

第6問では、共同仕入のメリットとデメリットに関して、その根拠をきちんと示して論述している答案と、単純に項目のみしか示していない答案には点差を付けざるを得ませんでした。メリットについては、仕入数量が増大することにより仕入値引きが可能となる点は記述されていましたが、それにより販売における価格競争力が高まることや、商品知識を持つ専門スタッフが取り仕切ることによ って品揃えの幅が拡大しストアロイアルティが高まること、あるいは、新製品やメーカーに関する情報が集中し一元管理できること、などのメリットについて記述されている答案は少なかったように思われます。的確な運用をするための対策に関しては、催し物などへの本部の強いリーダーシップ発揮やIT化への適合、仕入スタッフの教育育成体制の拡充についてもっと記述してほしかったと思います。

第7問の科学的鑑定法の利点については、科学的分析の根拠に基づく客観性について記述されている答案は多かったようですが、それが仕入先にどのように有利に機能するか、買い手としての消費者にどんなメリットを発揮するかについて、もう少し具体的に記述してほしかったと思います。

一方、商用鑑定法の利点については、人の感覚による評価のメリットに関して記述されている答案は多かったようですが、熟練者の五感に基づく評価の中身を具体的に書いていない答案がありました。さらに、消費者の視点に基づいた評価が、ダイレクトにかつ迅速になされることや、熟練者の確保ができていればコスト的にもむしろ割安である点についてもっと記述してほしかったと思います。

3.経営とマーケティング

第5問は、データベース・マーケティングの特徴を理解しているかを問う問題ですが、単に、POSの内容をそのまま説明した答案やデータを利用する効果だけを説明した答案も多く、マーケティング活動としての特徴を全く指摘していない答案が多くありました。また、データなど数字を利用することについて、単に一般論としての効果を指摘する答案も多く、質問の趣旨に合致しない答案も多くありました。

第6問は、比較的基本的な問題であり正解率も高い傾向にありました。ただ、4Pの構成要素の英単語のスペルを間違えたものも多く、解答としてはそれぞれの要素についての説明が十分でありながら、積極的に間違いを書き加えて減点となった答案も散見されました。

第7問は、“馴染客”という修飾語に気を取られて、馴染客である場合とそうでない場合とを区別するような答案が見受けられました。馴染客であるかどうかは、本問においては特に重要ではありません。常に、問題の本質を考えるという態度が必要です。

その意味で、今回は、時効制度の本質を良く理解した答案が多かったことは、大変嬉しく心強く感じました。しかしながら、一方で、法律問題であるにもかかわらず、時効制度の根拠について、財務や税務の観点から答案を構成した答案も見受けられたことが気になりました。

4.経営計算

第6問は、キャッシュ・フロー計算書における3つの区分とその内容に関する理解を前提とした問題でした。財務活動によるキャッシュ・フローの区分には、資金の調達と返済によるキャッシュ・フローが表示されますが、単に表示科目を羅列して、文章化していない答案が目立ちました。一方で、他のキャッシュ・フロー区分との関係についても言及した優れた答案もありました。

第7問は、当座資産が即座に換金できるとは限らない棚卸資産を含めない点をふまえて、短期支払能力の分析における当座比率と流動比率の違いを明確にすべき問題でした。しかし、そもそも当座資産と流動資産の内容が十分に理解されていない答案が多くありました。

両問とも財務諸表の利用者の立場から財務分析を行う場合を想定しています。ただ単に比率分析等の計算方法を暗記するのではなく、財務諸表上の区分の考え方や個々の表示科目の意味内容をしっかりと学習することが今後の学習のポイントになると思います。また、昨年度と同様に専門用語を漢字で書いていない場合や誤字による減点が少なくなかったことを指摘しておきたいと思います。

5.市場調査と立地分析

第6問は、中心市街地活性化施策のスキームと、国・地方自治体・中心市街地整備推進機構・TMO・商店街等々の役割について、学習段階でしっかり整理されていないとみえ、混同した解答が多くありました。なお現在、国では中心市街地活性化法を含むまちづくり三法の見直し作業を進めているので、今後の動向も注視してください。

第7問は、吸引力が人口に比例し距離に反比例する、というライリーモデルの特徴や、モデルの弱点も含め、かなりの受験者が出来ておりました。一方、これは買回品業種が多く立地する比較的大きな都市間に挟まれた小都市から買回型購買を吸引する場合のモデルですが、最寄品に関するモデルという誤りが少なくありませんでした。この場合の小都市とは、最寄品業種を含む日常生活必需施設がひととおり揃っているコミュニティであり、そこに住む消費者の最寄品購買の多くはコミュニティ内で済まされ、買回品購買については、より大きな都市へ吸引されやすいという仮説に基づいています。ライリーモデルにしてもハフモデルにしても、今日様々なかたちで応用拡大利用されている感がありますが、オリジナルの仮説がどんな状況下を想定していたかを把握しておかなければ、間違った結果を導くことがあるので注意が必要です。

6.組織と人事管理

第6問は、小売業における幹部候補となる新入社員の採用基準について、マス目の解答用紙に文章で記述する問題です。限られた文字数で書く必要がありますので、主な基準について各々簡潔にまとめる能力が不可欠です。一つの基準を長く解説してしまったために、他の重要な基準を書けなかった人もかなり見受けられました。

第7問は、小集団活動を効果的にすすめるための方法を5つ短い文で解答する問題です。ハンドブックには9つ書かれており、その内5つを書けばいいので、比較的やさしい問題です。気をつける点は、答案には単語の羅列でなく短文で書くことと、短文だけに要点を正確に表現することです。

7.販売計画と管理

第6問は、昨年に続き第5問と合体してつくられており、カテゴリーマネジメントの総体的理解を要する問題です。このことを前提として、全体の傾向をみると、学習不足による低得点だったと指摘できます。ハンドブックにしたがって学習していれば、比較的簡単に解ける問題ですが、それにもかかわらず、総じて低い得点しかとれていないのは、カテゴリーマネジメントの実施手順を体系的、かつ理論的に理解していなかったことに尽きると言えるでしょう。

具体的にみると、ゾーニングやレイアウト、さらには棚割りなどといった店舗分析の方法論にすり替えて記述したり、売れ筋や死に筋の把握とその分析方法と錯覚したりする受験者が多かったように思われます。このような受験者は、カテゴリーマネジメントの基本から体系的に学習することができなかったと考えられます。カテゴリーマネジメントは、文字通りカテゴリー(ある分類)を単位として損益計算から販促などに至るビジネスを行う戦略的管理手法です。ところが、多くの受験者は、単品や部門を対象にして解答していました。したがって、カテゴリーマネジメントの定義から展開方法などを体系的に学習しなおすことが必要と思われます。

第7問は、商品カテゴリー別の採算状況を把握するために、利益の「貢献度分析」が求められることを理解しているかどうかを問う問題です。貢献度分析には、大別して2つあります。①最寄品関連業種のように、商品回転率が高く、在庫負担の少ない商品の場合と、②買回品関連業種のように商品の回転率が低く、在庫負担の大きい商品の場合です。それぞれの名称と公式の理解がポイントになります。

第7問の答案の傾向をみると、完璧な解答者がある一方、商品カテゴリーの重点管理部門を見出すABC分析(パレート分析)と今回のような「貢献度分析」との違いが曖昧な解答も少なくありませんでした。

今一度、カテゴリーマネジメントについて、ハンドブックの箇所をよく読んで再認識するとともに、小売業におけるカテゴリーマネジメントの目的と効果について、自らが積極的に学習し、さらにカテゴリーマネジメントに関する正しい理解と深い知識を身につけていただきたいと思います。

8.情報化

第6問、第7問ともに応用問題で、両問題を比べると、第7問の出来、不出来の差が大きかったように思われます。第6問については、多くの受験者がCRMについてはおおまかには理解していたと思われましたが、中途半端な理解にとどまっている答案も見受けられました。



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