資格試験の合格率
難易度の高い資格試験は数多く存在する。資格受験の世界では、10%基準と言うものがある。これは、10%以下の合格率である資格試験は、難易度が高いと言われるものだ。そのため、合格率10%以下の資格試験を独学で目指すのは極めて困難であるとされ、資格学校や通信教育等の利用が不可欠と言われている。
確かに、10%を切るような合格率の資格試験は総じて難易度が高いのは明らかである。10人に1人しか合格することはできない訳で、9人が不合格になることを考えれば勉強を開始するのに躊躇してしまう。いくら、その資格が欲しくても、合格したいとい言う意気込みがあっても、10人中1人しか合格できないと言うでは自信を持つことも難しいだろう。
一方、合格率と言うのは、試験によって幅がある。つまり、ある資格試験では「申込者」に対する「合格者」の割合だったり、他の資格試験では「実受験者」に対する「合格者」の割合だったり。後者の場合には、現実的な数値と言えるが、全者の場合には受験していない単なる申込書を提出した人も含んでいるため、ややアバウトな合格率だと言える。
あなたが挑戦したい、あるいは挑戦する資格試験の合格率を見る際には、注意が必要だ。
資格試験受験者の実態
仮に、「実受験者」に対する「合格者」の割合が10%だったとしよう。この場合、受験をしても10人中1人しか合格することができない試験だと言うことになる。
しかし、受験者の中にも様々な属性がいることも事実である。一般的には、次のように3つの属性が存在すると言える。
・ほとんど勉強していないが、せっかく申し込んだので受験会場で冷やかし受験をした
・一通り勉強はしたが、忙しくて繰り返しの復習まではできていない
・一通り勉強し、全ての範囲をかなりの時間を割いて復習した
1の人は、「記念受験」「運狙い」などと言われたりもする。例えば、就職活動を控えた学生が、「公認会計士試験を受験しました。現在結果待ち中です。」などと、自分に対する泊付けの意味で受験することもある。就職や転職活動中の人にも多い。
当初はやる気があったものの、何らかの事情で勉強をすることができなかった。しかし、受験しないと会社に怒られる、あるいは受験料がもったいないなどの理由で、記念的に受験をする人もいる。試験は全てマークシートだから、運が良ければ合格できるかも!、自分の運を試してみよう!などと言って、合格する気も意識も低いのに受験する人も実は少なくない。
2の人は、とりあえず勉強をしたという人。満足行くまではできていないし、合格できると言う自信もない。だからと言って何もしていないわけでもない。自分のできる範囲で、最大限の勉強はとりあえずやってみた。今年はダメだろうが、来年のためのとりあえず受験しておこう。そんな人たちである。
3は、きっちりと勉強をした人。明確に合格したいと言う意識を持ち、繰り返し勉強をこなしてきた受験生である。
受験者の中には、大きく分けて上記のように3つの属性の人がいるのだ。
本質的な合格率
以上を考えれば、1に該当する人はほとんど勉強をしていない人である。これらが、加味されて10%の合格率となっているとすれば、これらの人々の頭数は実質的・本質的な合格率からは省かれる。
また、2に該当する人も、勉強はしているものの合格することはできない人々である。であれば、いくら一通りの勉強をしているとしても、本質的な合格率からは省かれるべき存在だろう。
そこで重要なのは、1と2に該当する人々が一体どのくらいいるのかということだ。実は、これが意外と多いのである。あなたのように熱心に勉強している人からすれば信じられないかも知れないが、全く勉強しないで本試験を受験していたり、一夜漬けレベルで勉強をして本試験を受験する人は結構多いのだ。
試験によっても異なるが、たいていの場合、1と2に該当する人は全受験者の半分は存在している。100人の受験者がいれば、そのうちの50人はそもそも合格することができない人たちということだ。仮に合格率が10%の資格試験であっても、上記の受験者を考慮すれば、50人受験して10人の合格、つまり、20%まで実質的な合格率は引きあがる。
一方、きっちりと勉強してきた3に該当する受験者であっても、死ぬ気で勉強してきた人と、それなりに勉強してきた人などの属性で振り分けていけば、3の属性の受験者の中でもランク分けを行うことができる。死ぬ気で勉強してきた人は、50人中およそ3分の1程度。仮に20人dだとすればどうなるか。
100人受験して合格者が10人の試験であっても、100人-勉強してない50人-本気でがっつりやっていない30人=20人が実質的な合格可能性の高い人。そのうちの10人が合格するのだから、合格率は50%となる。
資格試験とは、多くの場合はきっちり最後まで勉強して、そして、死ぬ気で問題を繰り返せば50%程度までは自身の合格率を引き上げることができると言うことだ。
10%と言う難関資格試験であっても、実は50%程度の合格率にすることは、自分自身の勉強に対する取り組み次第で可能なのである。
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